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2017年8月4日金曜日

商用化へ加速、量子コンピューター「9000兆倍の破壊力」

「巡回セールスマン問題」など数々の難問を一瞬で解き、性能はスーパーコンピューターの9000兆倍に──。夢の計算機「量子コンピューター」の研究が世界で急加速している。米IBMと米グーグルなどの米国勢は試作機を公開。欧州連合や中国政府も研究開発に巨額を投じている。「用途は科学技術分野など限定的だろう」との考えは正しくない。産業分野に応用できるアルゴリズムが突然見つかり、「明日にも企業が使えるようになる可能性がある」と専門家はみる。9000兆倍の破壊力を持つ新技術の今を追った。
2017年5月、米IBMは17個の「量子ビット」を備えたプロセッサーを試作したと発表した。同社初となる商用の量子コンピューター用プロセッサーの試作品となる。



 IBMは2016年5月、量子ビット5個からなる量子コンピューターを操作できるクラウドサービス「IBM Quantum Experience」を無償提供して話題を呼んだ。公開から約1年で100カ国超の4万5000人が使い、約30万回の実験をこなした。2017年5月には量子ビット数を16個に増やした量子コンピューターのベータ公開を始めた。



■米IT大手が続々と参入

 今、IBMに続き量子ゲート方式の研究に乗り出す企業が相次いでいる。

 ビッグプレイヤーの一社がグーグルだ。人工知能(AI)の演算を高速化できるとみて開発を進める。量子ゲート方式の権威として知られる米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティニス教授を研究グループに招き、スパコンの演算能力をはるかに超える量子コンピューターの実現を目指す。
 米インテルは2015年9月にオランダの研究グループ「QuTech」に5000万ドル(約55億円)出資し、インテルの半導体微細加工技術を生かした量子コンピューターを開発する。

 米マイクロソフトは「トポロジカル物質」と呼ばれる材料をプロセッサーに使った量子コンピューターを開発する。

■目指せ宇宙スケールの超越性

 米IT(情報技術)企業が相次ぎ量子ゲート方式の開発競争に乗り出したのは、量子コンピューターでスーパーコンピューター(スパコン)をはるかにしのぐ演算能力を実現できる算段が立ったからだ。

 マルティニス教授は2016年6 月、分子の性質をシミュレーションする「量子シミュレーション」と呼ぶアルゴリズムであれば、50量子ビットの量子コンピューターでスパコンの性能をしのぐ「量子の超越性」を実証できると学会で発表している。さらに同氏は2017年中にも49量子ビット機を実現するとしている。

 スイス連邦工科大学の研究グループはスパコンを使ってシミュレーションをすると、その計算能力は45~49量子ビットの量子コンピューターと同等だと2017年4月に発表した。50量子ビットの量子コンピューターが完成すれば、その計算能力はスパコンを上回る。

 「量子シミュレーションは厳密な誤り訂正が不要なアルゴリズムのため、1量子ビット増えるごとに計算能力が2倍になる」。


 一方、グーグルの研究チームに参加するマルティニス教授は100量子ビット超の実現を目指す。IBM Researchの研究グループも2016年8月に100量子ビット機が近い将来に実現するとの論文を発表している。「近い将来」を5年以内と仮定すれば、2021年までには100量子ビットを実現できる。計算能力は単純計算でスパコンの9000兆倍。人間の身長と比較すれば太陽系の半径にも相当し、“超越性”と言うにふさわしい飛躍だ。


■“不安定”を長く保つ努力

 量子の超越性を実証できるメドがたった背景には、技術上のブレークスルーがここ数年で相次いだことがある。数十年にわたる基礎研究の積み重ねを経て、ようやく量子の超越性に手が届きそうな段階に行き着いた。

 



■産業的な貢献度は未知数

 量子の超越性が目前に迫る量子コンピューターだが、「産業的な貢献があるかは、正直に言って分からない」(中村教授)。量子超越性を達成した量子コンピューターが扱う問題は「人類が初めて計算する問題であり、どんな使い道があるかが見えてくるのはこれから」(西森教授)だ。

 量子ゲート方式の計算能力はアルゴリズム次第だ。IBMが自社の量子コンピューターをクラウドに公開したのも「研究者を増やして産業応用できるアルゴリズムの発明を促す狙いがありそうだ」(中村教授)。現在は小さな分子の性質をシミュレーションできるとして、薬の合成に使う計画がある。

 アルゴリズムの発明は「前触れもなく突然に訪れる」。そう話す東京大学の小芦雅斗教授は、2014年に新たな量子暗号通信のアルゴリズムを発表した張本人。30年間議論もされなかった通信方法を「偶然見つけた」(小芦教授)という。新しいアルゴリズムが見つかれば、明日にも量子コンピューターが産業利用できるかもしれない。
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これは、夢のようなコンピュータ。
もはや、コンピュータなどと呼んでいいのかのレベルですね(^▽^;)
スパコンの9000兆倍って.....でもって、今のように小さいモバイル形式になれば
情報を一瞬でまとめて、本当に大事なものだけを伝えるツールが出来るかも。
翻訳もリアルタイムだろうねぇ....通訳さんの仕事がなくなるでしょう(ぇ
AIとして使うとアッサリ人間を超えてしまいそう(^▽^;)
戦争に使ったら大事だけどね(´・ェ・`)アボーン


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